今回で「音階」のお話も3回目となりました。
なかなか奥が深いですね。
長調 と 短調
さて、音階は音と音の幅(全音・半音の2種類)で出来上がっているということを理解しましたね。
(全音×2+半音)×1の2セットでオクターブ。
これが?となった人は、前回解説に戻りましょう。
復習がとっても大切。
さて、この全音×2+半音×1の2セットは
長調・長音階(Dur ドゥア【独語】、Major メジャー【英語】)の音の幅です。
何故か、この組合わせを使うと「明るい」と感じます。
これが、短調になると雰囲気がガラッと変わります。
短調
短調になると、一般的に「悲しく」感じるものです。(あくまで人それぞれですが)
さて、C(ツェー)Dur(ドゥア)【ハ長調】の場合。(ピアノのドから始まる長調)
全部「白鍵」を弾いていますね。
つまり、♭、♯が付かないということです。
この「白鍵」しか使わないで、「短調」の音階を作ることができます。
それは a(アー)moll(モール)【イ短調】です。(Cから短三度下降!?・・・今は意味不明でも大丈夫。安心してください!今は、Cから下に白鍵盤3つ【Cを入れて】おりた音から始まる音階のこと。という理解で十分。)
ちなみにこのCとAの音の幅(鍵盤の数)に注目!
音楽の世界では、階名(ドとかCとか)に番号をふって分かりやすく表現することがあります。
合奏でも、「第何音だから~」とか「何度」(Degree/ディグリー)とか言いますね。
C ~ A の音の数を考える時、C=1 と数えて、Aまで4つと数えます。(白3黒1)
鍵盤4つ分 = 短3度
落ち着いて!
「いきなり短とか、度とか!!なんじゃそりゃ!?」となった人がいますね。
まず 「短」から解説。
先ほどの音の幅については、「短」は鍵盤が4つ分でしたね。
さきほどは「ド(C) ~ ラ(A)」=鍵盤4つ(Cを入れて数えるからね!)
例えば「ド(C)~ミ(E)」と3度上行(白鍵3つ上る)った場合。
同じ3度だけど、鍵盤の数は?
お~~!鍵盤5つある!(Cも入れて。もうしつこいかな?白3黒2)
これが 鍵盤5つ分 = 長三度。
鍵盤4つが短三度。
で、何が違うのか!!
とてつもなく大きな違いです。
長三度 = 明るい響き
短三度 = 悲しげな響き
何なんでしょうか。
この空気の振動の割合が、人には感情として感じられるのです。
ちなみに、この「長」「短」を見事に利用して作り上げられているのが「音楽」です。
さて、短調に戻らなければ!
amoll(ラ から始まる音階。オクターブ。)
音の幅を確認。
A → H(B) 全音
H → C 半音 ※ここが長調と違いますね!
C → D 全音
D → E 全音 ※ここも違う。
E → F 半音 ※ここも違う。
F → G 全音
G → A 全音 ※ここも。
長調との違いが4か所ありますね。
全音、半音の関係が4か所も違う。(8つ分の半分!)
さらに、長調はきれいな4つの音×2セットと対称でしたが・・・。
短調は非対称なんです。
これが、より表現の幅を広げます。
ダイアトニック
そもそも、この4つの音が音階の始まりです。
ドの音をよ~く聴くと別の音が聞こえてきます。
「倍音聴いて!」なんて言う先生もいますね。
ちなみに、5度(ド → ソ)は比較的聞こえますが、それ以外の関係の倍音はなかなか聞こえませんよ。
よく分からないけど「はい!」と言ってませんでしたか?
倍音の話はまた次回以降に。
少しだけ音階のお話の深堀。
ド・レ・ミ・ファ の4つ(全音+全音+半音)は古代ギリシアの4弦ハープに似た調律があって、それが「ダイアトニック」と呼ばれました。
これを開発したのは「ピタゴラス」と仲間たちと言われています。
万物の祖は「数」のピタゴラスですね! 前582~前496
ちなみに「音階」の原型というか、「音列(音の並び)」の法則性に気が付いたきっかけは、鍛冶屋の鉄を打つ音が、「ワンワン」揺れる時と「キーン」と響きが合うときがある!というところから倍音に気が付いたという伝説があります。(諸説あります)
自然倍音の音は重なると見事に響くのです。
一般的な音楽はこの機能を利用して作られています。
さて、この4つの音が「ダイアトニック」(ラテン語 Di=2 a Tonic=主音と言う意味。)
2つの主音とは?
C(ド) を鳴らすと倍音 G(ソ)がなります。
G(ソ) を鳴らすと倍音 D(レ)がなります。
D(レ) を鳴らすと倍音 A(ラ)がなります。
A(ラ) を鳴らすと倍音 E(ミ)がなります。
E(ミ) を鳴らすと倍音 B(シ)がなります。 みたいに音階が出来ていったのです。
3つの短音階
さて短音階(短調の音階)に戻りましょう。
短音階をあえて2つに区切るなら 全+半+全/半+全+全 って感じ。
長音階が対称にできている「安定感」に比べて、「不安定」な短音階。
不安定が悪いか?
というとそうでもなく、不安定がゆえに色々と手を加えられる面もあるんです。
安定している長調は手を加えると「ガラッと別物」になります。
短調は元々不安定なので、そこまで変わらない。というか、手を加えるのが普通なんです。
短音階の歴史
ここでもやっぱり歴史。
いや~やっぱり歴史は大切だな~!
あ、長くなると思いましたね。はははごめんなさい。
授業で話が本筋から飛ぶと、冷めた目で見る生徒がいるんですよ。
でもね。教科書を読んでわかる事は自分でできます。そこにどれだけプラスアルファができるか!が腕の見せ所だと思うんです。(自己弁護です。)
「それで進度が遅くなるじゃないか!」って・・・。
はい。すみません。これでも相当に端折って、泣く泣くカットしているお話もあるんです。
すっかり本題からそれました。
そして、やはりちょっと長くなってしまいました。
詳しくは次に解説したいと思います。
せっかくなので、短音階の種類はお知らせします。
白鍵だけで作った「短調」の音階。
これに名前があります。
自然的短音階
次に
和声的短音階
3Dの3番です。
これは実際に弾いてみると分かるのですが白鍵だけだと、なんだか物足りない・・・。
これは、長音階で触れた「導音」が無い!という問題なのです。
Amollの場合、第7音がG(ソ)になります。
※主音 A(ラ)から数えて7番目の音。【Aも数えるからね!】
G → A は全音。
これだと遠いんです。GにはAに向かうエネルギーが足りない。
そうすると、音階としてとても大切な「終止」が不十分なのです。
さ~またまた新用語。
Cadenza カデンツァ イタリア語
Kadenz カデンツ ドイツ語
どちらも「終止」を意味しますが、音楽を作る上で最も大切なポイントになります。
これも後程・・・。ああ、伏線ばかりになってきて、回収できるのか不安。
エヴァンゲリオンみたいにならないように気を付けます。
まだ音階!まずこれに目途をつけましょう。
ということで、今いち「音楽」に使うと物足りない「自然短音階」を改造しちゃいました。
それが「和声的短音階」
何と 第7音を「半音上げる」という・・・。改造。
G(ソ) → Gis(ソ♯)に
人工的に「導音」が完成!!
しかも、属7の和音にドミナントモーションが誕生!
ああ、これで「終止感」もばっちり!
はい。何を言っているのかわかりませんね。ごめんなさい。
和声についてはまだ先の説明をお待ちください。
旋律的短音階
すると、和声的短音階で満足が出来ない!となるんです。
それは、F(ファ) → G♯ が
増2度
こつが非常にやっかいな音程です。
特に、単旋律(メロディーが一つだけの音楽)が主流の時代はこの「増2度」がヤバい!となるのです。
単旋律(モノフォニー)
聖歌と言えば「グレゴリオ聖歌」ですね。
教皇グレゴリウス1世 位590~604 が編纂したとされていますが、そのもとは古代ローマの聖歌とゲルマン人の聖歌がもとになっているとのことです。
吹奏楽でぜひ演奏したい作品No1!は、何と言ってもO・レスピーギ作曲 「ローマの祭り」ではないでしょうか。
この作品には古代ローマの「聖歌」(を基にした)が使用されています。
本当に見事な音楽。
前回演奏したときにはマンドリンのソロをカットする都合で全楽章できませんでした。
次にやる時には必ず全楽章やりたいです。
単旋律の聖歌。
これを楽器の伴奏なく、合唱するので「増2度」は勘弁となるわけです。
そこで登場したのが
F(ファ)を上げちゃえば?
というか、多分歌っているときに「上ずる(高めに歌う)」ようになったのでしょう。(これはあくまで私の考えですが・・・。だって増2度は本当に歌いずらい。)
ということで
F(ファ) → Fis(ファ♯)へさらに改造!
いや~これで完璧!
と思ったら大問題が。
単旋律(モノフォニー)の聖歌では、順次進行(最高!も~これが出てきたら低音パートは幸せ。そしてこれが反行していたら・・・。はい、これもまた後程)するのが定番だったのに・・・。
旋律的短音階で下降すると・・・。あれ??
長音階に聞こえますけど?
そう。6度、7度と半音上げた「旋律的短音階」は下降すると、長音階のように聞こえます。
ここでさらに改造!?
下降は「自然的短音階」でお願いします・・・。
もはや、改造しすぎ感も否めませんが、音楽が優先なのです。
ということで、3種類の短音階が存在しているのです。
ちなみに、基礎練習・合奏で使用してる音階練習はどれかな?
楽譜を見てみましょう!
なかなか終わらない「音階」のお話。
深いですね~。でも楽しいですね!
コメント