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楽典【音階②】

吹奏楽

今回からちゃんと「音階の話」に入ります!

「音階」=「スケール」 と言ったりしていますね。

基礎練習で

全調のスケールをやりましょう!」

と言われていますよね。

さてこの「音階」(スケール)の種類は

24種類あります。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: kenban02mono-1.png

この図を参考に確認しましょう。

ド~ド までの8つの音で音階(スケール)は構成されています。

オクターブ

と言いますね。「オクターブ上」とか「オクターブ下」とか。

Octave(ラテン語) = 8

からきている名称です。

ラテン語だったり、イタリア語(ド・レ・ミ・・・)だったり、音楽の用語は多言語で大変ですね。

これもかつて、音楽の最先端をイタリアが突き進んでいたからです。

11世紀十字軍の遠征にみられるように、地中海貿易が活発に行われジェノア、ヴェネツィアなど北イタリア諸都市が繁栄しました。

そしてその富を背景とした「イタリア・ルネサンス」の登場です。
ぜひ世界史で学びましょう!
とにかく芸術の最先端はイタリア!ということです。

ということで、芸術と経済は切っても切れません。
経済発展と音楽の発展は密接に結びついているのです。
ですから、世界史でも文化史はとっても重要なテーマになります。

「ドレミの歌」を日本人が歌うことになっている理由でした。
かなり強引ですが・・・。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: kenban02mono-3.png

さて、オクターブに使用されている音は7種類。(ドが2回あるので除くと7つ)

この7種類で注目して欲しいのは、音と音の間隔です。

ド → レ = 間に黒鍵(鍵盤の黒いやつ)があります。

レ → ミ = 同上

ミ → ファ = あ!無い!!

ファ → ソ = 間に黒鍵あり

ソ → ラ = 同上

ラ → シ = 同上

シ → ド = また無い!!

音の間隔には2種類あるのです。

気が付いたと思いますが、音階は

ド~ファ

ソ~ド

4つの音の2セットでできているのです。

黒鍵を挟む間隔 = 半音2つ分 = 全音

黒鍵を挟まない間隔 = 半音1つ分 = 半音

※半音 はピアノの鍵盤の白鍵も黒鍵も全て含んで、鍵盤の隣との間隔です。

人間の間隔とは不思議なもので、この

半音2つ(全音

半音1つ(半音)

では、感じ方が全く異なります。

導音

音階が並んでいると、人間は

半音の時に「隣へ行きたがる」(次の音に行きたい!)ように感じる

のです。

これが、半音音階(半音で音を並べた音階・クロマチックスケールと呼ぶ。)だとそうは感じません。

つまり、相対的な音と音の間隔について「人の感覚」の問題。

全音と半音の絶妙な組み合わせの時に、「隣へ行きたがる」と感じるのです。

多分これは人間が「意味づけ」ているのでしょう。

※カント的な考え方によれば。(「世界を作っているのは人間」というコペルニクス的転換のお話。)
おっと。これはまた哲学の深みにはまるので、おいておきましょう。
倫理、そして世界史(17世紀・18世紀の文化で触れます。)

ちなみに、この「隣へ行きたがる」ことを音の移り変わりの「エネルギー」を利用して音楽(フレーズ、和声進行、リズム)が作り上げられています。

ちなみに、音の間隔的には

ミ → ファ

シ → ド

は同じです。

しかし、音階(ド~ド)が並んだ時

シ → ド はとてつもなく大きな「隣へ行きたがる」力を発揮します。

ということで、この

主音(キー)の半音下のシを

導音(どうおん)

と呼びます。(そのまんまの名前。)

ちなみに英語では Leading Tone です。直訳ですかね。

これがイタリア語だと

Sensibile

意味は「感じやすい、過敏」などですが、これが「導音」の意味もあるのです。

イタリア人の「物事の本質」をとらえようとする感じがいいです。

だって、「導音」が音楽の「肝」(きも)ですからね。

さ~ちょっと長くなってきてしまいましたが、あと少しだけ。

音階の種類

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: kenban02mono-2.png

音階は、ド~の間に12個(白=7、黒=5)ありますね。

この12個それぞれが主音(キー)になることができます

つまり

ド~ド

レ~レ

ミ~ミ

だけではなく

ド♯~ド♯

レ♯~レ♯

と言った感じ。

それぞれ名前がついていますね。(実はこっちの方を先に教わっていますよね。なんだかよくわからないうちに)

ちなみに、『3D』は11ページ~の「調の練習」でイロハ、英語名を併記しています。

でもドイツ音名で in C/in B のように音階(スケール)を表すことも多いですね。

慣れましょう!

固定ドと移動ド

別件ですが、日本ではドイツ音名を固定として使用することが多いですが、これは日本だけのローカル・ルールのようです。

これは諸説ありますが、日本がドイツと非常に近しい存在だったことに影響があるようです。
一時期政治的な理由(第2次世界大戦へ向かう中)でドイツ作品、イタリア作品は演奏を許されたりしましたし。

そして、日本の吹奏楽は「軍楽隊」の影響を色濃く受けています。
私が指導を受けてきた秋山紀夫先生も、桜木中学校で吹奏楽の指導をしていただいたのは軍楽隊の方だったとおっしゃっていました。

おっと。話が逸れました。

ド = C = ピアノのC

と固定して使用することです。

移動ド とは

ド = キー = どの音でも音階のキーを「ド」と呼ぶ。

つまり、Es dur ならば、Es = キー =ド となります。

なぜ、日本ではドイツ音名を「固定ド」で使用するか。

ちょっと複雑ですが、吹奏楽では移調楽器が使用されていることも要因の一つと言われています。

C管 フルート、オーボエ、ファゴット、

B♭管 クラリネット、トランペット、ホルン、ユーフォニアム、テューバ
※EsもFもCもありますが・・・。私の吹いているTubaはC管です。クラリネットのA管、テューバのEs管、F管ともう多種多様。

Es管 アルト・バリトン・サキソフォン(ソプラノ・テナーはB♭管)、Es管クラリネット、コントラ・アルト・クラリネットなど

F管 ホルン、イングリッシュ・ホルン

こうやってそれぞれの「ド」がCだったり、B♭だったり、Esだったり、Fだったりするので大変・・・。

何小節目の「ド」です!

って吹いてもらうと、出てくる音が「はい?それはミですよ?」とか「いやいやシですよ!」となります。
それぞれ楽器によって「ド」が違いますから。

合奏を効率的に進めるためには、ドイツ音名が固定ドで使われていると間違えなくて便利!

だから、固定ドを使うのです。
その方が混乱しないので。でも、海外では「In Esのド」とか言うんですよね。毎回調を指定して。

さてさて、ここで??と思った人。

「ヘ音記号(低音部記号)は全部 inC で書かれてますよ!!」
※ピアノの低音部記号と同じ書き方。B管なのに!

つまり、常に自分の「ド」を楽譜上では「シ」に読み替えているんですね。
これをちゃんと教わらないで、自分の楽器が「C管」と思っている人もいたりします・・・。

あと、「実音読み(ピアノと一緒)」で読んでいる人も多数。
その方が自然と言えば自然。
でも、自分の楽器の調とは違うんですよね。

そうなんです。

トロンボーン以下、ユーフォニアム、テューバは全て「inC」で書かれています。

移調されて表記いません。

なぜか。。。

これは私の想像ですが、コストの関係ではないかと思われます。(印刷、編曲などなど)

低い音の皆さんはまとめて1種類の楽譜で、自分で読み替えてねという・・・。

でも!

歴史的に振り返れば、元々楽譜は自分の楽器の調で書かれていませんでした。(それが普通)

つまり、演奏者は自分で「移調」(自分の調に読み替え)しながら演奏していたのです。
今のトロンボーン以下の皆さんのように!

ベートーヴェンのホルンの楽譜を見れば、五線に収めるため(これが最優先。見やすい、そしてコスト的にも)に全パートバラバラな調で書かれています。

F管で Esで書かれたのを頭の中で移調するのって大変だと思いますが・・・。
ホルンだけでなく、クラリネットも。(A管、B♭管が多いですが、EsとかDとかで書かれることも・・・)

そういうのが普通。だった時代もある。
移調出来て当たり前!

だから、負け惜しみじゃないけど、低音部記号チームはかつての演奏家が要求されていたことを今でもされているんだ!と思って受け入れよう・・・。ちょっと苦しいかな・・・。

ま、音数が少ない低音なんてそんな扱いです。

だって、バロック時代以前だったら低音には「譜面」すらないんですから・・・。
演奏者の「即興」(インプロビゼーション)でした。

長調と短調

さて、これでスケールに12種類あることが理解できましたね。

そして、全音と半音の違い。

さてさて。

今回もちょっと長くなってしまいました。

今回で12種類の音階(スケール)を理解できたのではないでしょうか。

おや?24種類でしたね!

そうです。まだ長調(Dur ドゥア ドイツ語/Major メジャー 英語)の12種類なのです。

次回は短調(Moll モール ドイツ語/Minor マイナー 英語)の12種類

長調と短調の関係

それと音部記号の隣にある♯、♭の変化記号から、調性(何調か?)を読み取る方法など実践的なものをお伝えします。

文字、書籍で学ぶ素晴らしい点は、自分のペースで学べること、何度も繰り返せることです。
少しずつで構いません。「楽典」をしっかりと理解していきましょう。

楽譜を自分で読み取って、自分の中で音楽を理解して、楽器で表現する。

そのための楽典のお勉強です。
やっぱり「知識」は世界を広げます。

何のために「学ぶ」のか?

それは「世界を理解するため」です。
※受験のためではない!!

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