映画です。
今回は「Box」を見ました。映画の内容は死刑判決が最高裁で確定した袴田事件のドキュメント。事件は1966年に静岡で起きた強盗殺人、放火事件。家族4人が惨殺された後、証拠隠滅のために放火された痛ましい事件です。当時みそ工場で工員として働いていた袴田巌さんは元ボクサーという事で疑いをかけられました。(殺された会社役員は柔道の有段者で、非常に体格の良い方でした。それを力で抑えられるのは・・・と言う事で疑われたそうです。)
しかしながらどうも真実は袴田死刑囚による犯行なのか。検証すればするほど・・・・。実際裁判で判決を決定づけたのは状況証拠と自白のみ。唯一有力な証拠は裁判が事件発生後1年を経過してから、味噌の仕込みだるからみつかった殺害当初に着ていたとされる衣服。実際はサイズが合わないのですが、1年間味噌に浸かっていて縮んでしまったというのが検察側の主張だそうです。
そして人間性を失わせる取り調べ。あれだけ長時間(最長一日17時間の取り調べ・・・)の取り調べを行うとは。やはり取り調べの可視化も検討すべきではないかと思うほどです。もちろん適正に行われている取り調べがほとんどでしょうが。
とにかく現在も43年の時を経て袴田死刑囚は収監され続け居ているのです。現在は精神疾患ということで、死刑執行の猶予が求められています。もう73歳。取り返しはつかないです。
映画は全編ドキュメントタッチで描かれています。
地方裁判所で死刑判決を出した判事が主人公となっているのですが、死刑判決を不本意ながら出し(そういうこともあるのか・・・)その後の人生を袴田事件により大きく変えられてしまいました。
これまでに現代社会の授業で映画「それでも僕はやってない」を取り上げて、裁判員制度の授業をやったこともありました。日本の裁判での有罪率は99%。つまり日本の裁判は「悪人を裁く場所」ということです。でもそこで忘れてはいけないのが「冤罪」です。
特に袴田事件は死刑という重い判決で「冤罪」が強く疑われています。このような事があるのか、と深く考えさせられました。これから裁判員という国民の権利(義務か・・)によってより裁判が身近になっていくことでしょう。自分も裁判員になることもあるかもしれません。ですから人が人を裁くということについて、もっともっと真剣に考えなければいけないなと思いました。
司法に関わる多くの皆さんの苦悩が想像されました。
本当に辛く厳しい分野だと思います。
終わった後も深く考えさせられる内容でした。
皆さんも是非ご覧になって下さい。そして一緒に考えてください。
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