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楽典【音階】その4

吹奏楽

結局音階が尻切れトンボになってしまいました。

しかし、とても大切でしっかりと理解していないとこの先の話へ進めません。

分からなくなったら、何度も戻って確認をしてください。

ドイツ音名と英語

ドイツ音名は覚えたでしょうか?

B ベー、C ツェー、D デー、E エー、F エフ、G ゲー、A アー、H ハー ・・・。

おいおい。

H

って何さ?

黄色=ドイツ音名のB 黒=英語音名のB

ちなみに 英語音名であれば B ビー = シ です。

しかし、ドイツ音名だと B ベー = シ♭ なんですね。

紛らわしい!

そして・・・。いきなりの「H」

実は、これには諸説あってはっきりしません。

有力なのが、シ(英語音名 B)の音の特性に関係があります。

これは、次回の「和音」の話でも出てくるのですが

in C(ハ長調)の場合に、全ての音に「5度上」の音を重ねてみると・・・。

C と G(白い鍵盤でCを入れて5個目) = 黒鍵も入れると 鍵盤は8個。

これが 「完全5度」と呼ばれる音程のなります。
とても美しい、まさに「完全」な響きになります。

さて、

D と A = 鍵盤8個

E と H(英語 B) = 鍵盤8個

F と C = 鍵盤8個

G と D = 鍵盤8個

A と E = 鍵盤8個

さすが「完全」ですな。全て同じ!
さあ、最後の7番目も8個だよね?

H(英語B) と F = 鍵盤7個!
お~い。これだけ鍵盤1つ足りない!

ちなみにこの音程を

減5度 と呼びます。

ぜひ、この音程をピアノなどで弾いて聞いてみてください。

何とも不安定な、ムズムズっとする音程なんです。
でも、人間の感覚ってほんとうに良い加減で・・・。ずっと聴いていると慣れるんですけどね。

さて、まだ音階の形が固まっていない頃。

「Bはなんか知らんがヤバい」

という認識が広がりました。

まだ時代は「モノフォニー」。以前も話が出たグレゴリオ聖歌ですね。

そこで、短音階の時と同じように工夫がされたのです。

それは、B(ドイツ音名も最初はシだった)を美しい響きにするために高めに歌ったり、低めに歌ったりしたそうです。

b

なんか

似てますよね?

実は、b が ♭ と ♯ に変形したそうです。(諸説あるそうです)

ちょっと低めが ♭(よくよく見ると ビー ですな)

ちょっと高めが ♯(これ変形・・・?ちょっと無理が・・・。)

で、そもそも減5度を避けるために低めに歌うのが定着して

B = シ♭

となったそうです。

ちなみになぜ H ?

b が h に見えて、そのうち区別するためにも「H」がいいね!となって使われ始めたそうです。(手書きですからね・・・)

いや~この歴史を知っていれば、いきなりのHもちょっと楽しいですよね~。

ということで、音階のお話はここで一区切り。

和音の話へ。

先ほど、完全5度の話が出ました。

この完全5度。完全なだけあって「色」がありません。

うれしい、悲しいなどの存在しない、「完全」な世界。(と思えるでしょうか?)

ここに、3度の音程が登場します。

C(ド) と E = 鍵盤5個

D と F = 鍵盤4個

E と G = 鍵盤4個

F と A = 鍵盤5個

G と H = 鍵盤5個

A と C = 鍵盤4個

H と D = 鍵盤4個 
※ただし、Hは前出の通り減5度なので通常は H D F の三和音は使用しません。(これは後程)

鍵盤4個 = 短三度

鍵盤5個 = 長三度

これは復習ですね。

短三度の和音 

C E G 長三度 → Ⅰ の和音

D F A 短三度 → Ⅱ の和音

E G H 短三度 → Ⅲ の和音

F A C 長三度 → Ⅳ の和音 

G H D 長三度 → Ⅴ の和音 

A C  E 短三度 → Ⅵ の和音

H D F 減三和音(特殊) → Ⅶ の和音

ド ~ ド = in C = ハ長調 の場合です。
※もちろん12種類ありますからね。

ちなみに C → E = 長三度 / E → G = 短三度

D → F = 短三度 / F → A = 長三度

鏡みたいですね。

三度の場所が半音分違うだけですが、響きは明るいと悲しいの大違いです。

ここで、ⅠとⅣとⅤの 長三和音(長三度の和音)がとっても重要です。

Ⅰ = 主和音 = トニック(ドイツ語/英語) 

ちなみに 「強壮剤」、「育毛剤」、「元気づけるもの」なんて意味もあります。

確かに音楽を元気づけるかな~。

キー(主音)の上にある3和音(3つの音による和音)なので、最も重要な和音になります。

Ⅳ = 下属和音 = サブ・ドミナント

Ⅴ = 属和音 = ドミナント

ドミナントに似た言葉が世界史で出てきますね!

「Quo vadis Domine?」(主よいずこへ)

イエスが殉教し、復活、そして昇天します。

その教えを大切に布教していた第一の使徒ペテロは、最も迫害の厳しかったローマにとどまっていました。

しかし、そのあまりに苛烈な迫害に耐えられずローマの郊外まで逃げてきました。

にわかに空が暗くなり、イエスが天から降りてくるのです。

そこでペテロは「主よいずこへ」(イエスよ。どこへいってしまわれたのですか!)と問うのです。

すると、イエスは黙してローマを指さします。

そこでペテロは全てを察するのです。

イエスは人類の罪を全て背負って「贖罪」として十字架にかけられました。
それは「神」の導きであり、その苦しみを受け止めたのです。

この迫害の苦しみも神のお導きなのだ、とペテロは再びローマに戻り、そして殉教します。

この第一の使徒ペテロの教会が

サン・ピエトロ大聖堂(聖ペテロ) 【現・バチカン市国】
この教会の司祭は「ペテロの後継者」となり、いつしか神の代理人として「教皇」と呼ばれるようになるのです。

Dominanto には「支配する」というような意味があります。

Dominus ドミヌス

専制君主政(ドミナートゥス)

ディオクレティアヌス帝 の時代に始まった、オリエント風の統治体制です。

ドミヌス が皇帝の正式称号として使用されたところから来ます。

あくまで、ギリシアからの伝統である「民主政」を形式上残した「元首政(プリンキパトゥス)」との決別です。

新しいローマ帝国が始まりました。(比較的短命ですが・・・。それでも約200年)

ということで、属和音(ドミナント)はこのような意味のある言葉です。

さて、思い切り寄り道したので長くなってしまいました。

次回は「和音」、そして「終止」のお話に入ります!

ここが理解できれば、音楽の構造がかなり分かってきますよ~。

「理解して音楽する」

楽典をしっかりとお勉強しましょう!

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