令和6年8月20日(月)
先日、YouTubeの動画を見ていて驚きました。
この動画を見て、「金融教育」の大切さを思い知りました。
投資と投機の違い
この動画を簡単に説明すると、「青汁王子」という方が日本株が絶好調だったのでそこにかなりのリスクを取って株式を購入した。そして、急激な下落によって大きな借金を抱えてしまったというお話です。
これだけ見ると「投資って怖い・・・」というお話になってしまいます。
しかし!彼の取った行動は決して「投資」ではありません。
「投機」です。
これは、政治経済の授業でも、世界史でも(世界恐慌の時に)必ず触れる内容です。
投資と投機の共通点
どちらも「資本」を何らかの方法で増大させようとする行為です。
主に「金融商品」を買う、または売るという方法が一般的ですが、それ以外にも様々な方法が存在しています。
例えば「株式」であれば、企業の頑張りに「資本」を提供して、その株式の上昇分や利益の分配(配当)を得ようとします。
投資と投機の相違点
それは「時間」です。
私が学んできた「投資」は、リスク(変動の幅)を管理して、自分の許容範囲で「資本」を提供する行為を差します。
その大前提として「長期投資」であることが重要です。
長い時間(10年~15年)をかければ、かなりの確率で「資本」は増えます。
※それでも「リスク」(変動の幅)がゼロになることはありません。
しかし、「投機」は短い「時間」で利益を得ようと行動します。
当然「リスク」(変動の幅)が大きい商品、大きい行動を選択することになります。
いわゆる「ハイリスク・ハイリターン」となる訳です。
それでも、その「リスク」が本人の許容範囲であればもちろん構いません。
しかし、この動画の「青汁王子」の話を聞いていると、悲しくなるほど「金融知識」が欠如していたのです。
なぜこのような結果を招いたのか、彼はその原因も理解できていないようでした。
動画中では「来月末までに3億円以上用意しなければ・・・」という、一般人には想像もつかない金額を話していました。
なぜ、そこまで追いつめられるような、明らかに許容範囲を越えた行動をとったのでしょうか。
彼は、「運営している企業の資金が必要だったので、絶好調の日本株に投資した。」
と言っていました。
この言葉から、何をどう間違えているのかが分かります。
まず、「企業の運転資金」を、株式の利益、しかも短期的な売買(安く買って高く売る=キャピタルゲイン)によって得ようとしていること。
何より「絶好調の日本株」という判断ですが、この株高はいったいいつまで続き、いつ落ち着くのか?「短期的な価格変動」は誰にも分からないのです。
※長期的な傾向(トレンド)大体予測が付きます。長期になればなるほど正確性が上がります。
この予測不能の価格変化に、自分が運営している企業の運転資金を得るために「資本」を市場へ投下するのは、もはや「リスク」(変動の幅)ではなく、「デンジャー」(危険)です。
しかも、「信用取引」を活用していたのです。
「信用取引」とは、金融機関の口座に現金(証拠金)または証券を入れると、その額の3倍程度まで金融商品を買う事が出来ます。
?どういうこと?
例えば、口座に100万円入れると、300万円まで買えるです。
※「信用取引」という名称が良くないと思います・・・。
これは言い換えれば、100万円を担保(補償金)として200万円を金融機関が貸してくれるのです。
つまり「借金」であり、当然「利子」が付きます。(結構高い利子です)
このシステムだと儲かる時は3倍。
でも損をする時も3倍。
そして、価格が大幅に下落して証拠金(口座の現金または証券の金額)が「信用取引」で購入した金融商品の金額の約30%を下回ると、不足した金額をすぐに入金しなければなりません。
これを「追証」(おいしょう)と言います。
現金が無い場合は、保有している証券を強制的に決済(売る)されるのですが、相場の動きが不安定な場合決済できない事もあるのです。(あまりに値下がりしすぎて売れない・・・等)
「借金だと知らなかった・・・」
と、力なくつぶやいていました。
知識と経験
「青汁王子」さんのお話はYouTubeでご自身が世界に告白しているので、これを題材に世の中の「金融知識」の必要性が認知されて欲しい思い題材に使わせていただきました。
これはあくまで私の想像ですが、彼は様々な分野で成功している方ですから、先ほど私が説明した内容を「知識」としては持っていたのではないかと考えます。
しかし、「経験」が不足していたのではないか。
これが一番重要な点です。
「投資」をするためには、少しずつ無理のない範囲で自分自身が「経験」を積む事が必要不可欠なのです。
なぜならば、「お金」が絡むと、人間の感情は揺り動かされ、まともな判断が出来なくなります。
これがいくらNISAのような、分散型の金融商品であってもそうなります。
増えれば盛り上がる。減ると動揺する。
自分のお金が増える、減るは金額の多寡にかかわらないです。
相当「心」が不安定になります。
こればっかりは、自分の身体で経験を積まなければ理解することはできません。
その上で、金額だけでなく、心の面での許容範囲も理解する必要があります。
実は、私は何でも「やってみてから考える」というスタンスなので、投資についてもとりあえず何でもやってみました。
「商品先物」(ガソリン、豆など商品先物)もやってみました。
ま~粗い値動きにびっくりして、「お~増えた!」と思ったら、「え?半分になるの?」って感じで・・・。
これはパチンコより儲けるのは厳しいと身をもって学びました。
前出の「信用取引」もやりました!(自慢するところではありませんね・・・)
これがまた最高のタイミング。(学びとしては・・・)
2008年9月15日
ご存じでしょうか・・・。「リーマン・ショック」です。
もちろん「青汁王子」とは比べ物にならないレベルの少額でしたが、「追証」(不足分の証拠金を入金する)がかかりました。
画面が赤くなるんです・・・。
いや~さすがにこの時は血の気が引きました。
そんな紆余曲折を経て、現在はしっかり自分の「リスク」許容度を考えて、日々研究して、しかも長期的に「投資」をするようになりました。
「知識」だけではダメです。
でも「経験」だけでもダメなのです。
「金融知識」が不十分で、「経験」も無い中で、自分の財産が消し飛んでしまうような行動はまさに「デンジャー」(危険)以外の何物でもありません。
学び、着実に経験を積めば誰でもその利益を手にすることが出来ます。
規模も、期間も、その人それぞれです。
人と比べる必要は一切ありません。
もちろん考え方として、現金しか信用しない!というのも尊重します。
ただ「金融知識」を身に付けていれば、これからインフレーションの時代がきている中で、「現金」で資産を管理する「リスク」の大きさは理解できるはずです。
※30年間続いたデフレ社会の結果、インフレ社会を知っている人は高齢者になりました。現役世代、若者はこのデフレからインフレへの転換に、積極的に「頭の切り替え」することが必要です。
2学期からも、出来るだけこれからの人生につながる「金融知識」を提供していきたいと思います。
出来るだけみんなが理解できる、興味を持つような授業。
私の使命の達成もなかなかハードモード。
鍛えられます。
もちろん、「学び続ける」のは大人も同じです。
結局、学び続ける、そして適切なリスクを取って経験を積み成長し続ける。
これは「投資」だけではない、人生に通じることではないでしょうか。
ちなみに、この書籍は本当にお勧めです。
まずは、基本として「お金にまつわる5つの力」から学んで参りましょう!
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