令和5年9月13日(水)
この4月から新しい環境に移り、本当に刺激の多い日々を過ごしています。
何から何まで刺激的です。
教員の仕事とは。
「教育公務員」(あえてこういう言い方をすると)は、各地方自治体の職員として公教育に携わっています。
その職場は「学校」であり、どの「学校」に所属しようとそこは「職場」です。
私にとっても前年度まで勤務していた学校も、現在勤務している学校もどちらも「職場」です。
それ以上でも、それ以下でもありません。
与えられた環境で自分の持っている力を発揮して、目の前にいる未来ある若者たちの「教育」に携わるのです。
高等学校
ちなみに高等学校は小学校、中学校の義務教育とは異なり、地域性は薄くなり、学力検査という制度によりテストの点数である程度割り振られた生徒たちが対象になります。
生徒たちは「学力」という、一側面での評価を重たく受け止め、疑うことなく自己評価に落とし込みます。
私は、これが「若者」から無限の可能性を奪うことになっているのではないかと感じています。
もしも小学校、中学校での学習が足りなかったら、高校で足せばよいのです。
高校でも足りなければ、その次のステージで学べば良いのです。
○○高校だから・・・。
その気持ちはよ~く分かります。
私も高校受験、大学受験で全力で取り組んだとはお世辞にも言えません。
いやいや、偉そうに生徒にも子どもたちにも「勉強しなさい!」って良く言えるなと・・・。
その結果、自分ではそう思っていなくても、世の中が私のことを「学校名」で評価しているように感じます。
実際、そんな下らない評価をする人間の存在なんか一切気にする必要はありません。
大切なことは、今自分のいる場所で努力しているかどうか。
もっと言えば、今のあなたの「実力」こそ評価されるべきなのです。
勉強が足りない!と思ったら、今からやればいいんです。
そして「実力」を伸ばせばいいんです。
大人の責任
しかしながら、この「学歴」の価値観を押し付けているのは間違いなく私たち大人です。
学ぶ環境を整え、若者にある無限の可能性を応援して、あとは信じて待つ。
周囲の大人がこの姿勢で、先入観と偏見を持たずに接すれば必ず若者の未来は明るくなります。
これはあらゆる大人に求められる態度だと思います。
そして、私たち「教育公務員」はそれを仕事にしているのです。
これこそ私たちの「仕事」なのです。
この姿勢を失っては「教育公務員」として職務を果たしているとは言えないでしょう。
子育てとは違う
自分の中でもバランス感覚が難しいと感じるのが、「自分の子供に感じる親の責任感」と「他人の子供に感じる距離感」です。
これを上手く併せ持つことが「教育公務員」に求められている資質ではないでしょうか。
実際、私自身、自分の子供たちが学校で多くの先生方にお世話になってきました。
本当に良くして頂いて、感謝の気持ちでいっぱいです。
何より、私には出来ないアプローチで我が家の子供たちを育ててくれたことに心から感謝しています。
もしも、学校で自分の子供の未来を否定するような、誤った価値観を持った教員に出会ってしまったらと思うと恐ろしいです。
とはいえ、今の時代は「絶対に学校に行こう!」という価値観は崩壊しました。
長男が不登校で苦しんだので、本当に良い時代になったと思っています。
実は、自分自身が「教育公務員」でありながら、「学校は生徒によっては不必要だったり、害悪にもなる」という事を正面から受け止めるには葛藤がありました。
どこかで学校に「無謬性」(間違いのない存在)という勘違いがあったのです。
さらに「父親」と「教育公務員」が掛け合わされて、何とも言えない肩に力の入った状態だったと自己分析をしています。
でも今は違います。
「学校の限界」も理解し、ある程度冷静に受け止められています。
何より、自分の息子であっても「個性を尊重すべき独立した存在」であるということを頭で理解し、実践できるようになってきました。
いや、なりつつある・・・。出来ない時もまだまだ・・・。
修行の日々です。
そんな情けない自分と向き合いつつ、職場で生徒に接する感覚は大きく変わってきました。
保護者への思い
とにかく、子育ての困難さ。
親だって子供に対して「何なんだ!」と思う時もあります。
本当に苦労する場面も多いことでしょう。
私自身ももがき苦しむ保護者の一人として、とにかく保護者の皆さんに対して思うのは
「お父さん、お母さんの責任ではありません。」
まずそこです。
実際、私たちのような「先生」の立場から、正論を遠慮なく提示されることほど辛いことはありません。
そんなことは分かっています。
あなたに言われなくても。
これが正直な思いではないでしょうか。
ですから、まず「一緒にお子さんにとって何が一番かを考えましょう。」という思いが大切です。
最も大切なこと
生徒は一人一人が大切な存在です。
親にとって、まさに「かけがえのない存在」です。
私たち「教育公務員」の仕事は、保護者と同じ気持ちを持ちつつ、少し冷静な距離感を持って「彼らのために何が出来るのか?」と考えるということではないでしょうか。
圧倒的な知識によって、素晴らしい授業をするのも大切。
部活動指導によって、生徒の可能性を引き出す指導力も素晴らしい。
学校運営にその手腕を発揮するのも、事務能力が高いのも素晴らしい。
でも、何より「生徒を大切に思う」ことが一番。
本当にそのことを再確認しました。
親とは違う、ちょっと客観的で適度な距離のある応援団。
私たちは彼らとたった3年しか一緒にいられません。
大したこともできません。
だからこそ、彼らへの思いはいつも大切に。
そして20年以上「教育公務員」をやってきて、「この思いは絶対に伝わる」という事に確信を持っています。
いや、伝わらない事もありますよ。もちろん。
でも、教師は本当に素晴らしいお仕事です。
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