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掃除の大切さ

令和6年2月20日(火)

「清掃指導」という言葉があります。

教員は「清掃」を通じて、何を伝えようとしているのでしょうか。

「清掃」

実は、学校教育の中に「清掃」がある国は珍しいです。

日本独自の価値観

も大きく関係しているでしょう。

とは言え、他国と同じくかつて(前近代=江戸時代まで)は厳しい身分制度(士族による支配)があり、その名残として「えた・ひにん」といわれた被差別部落の差別問題を始め多くの社会的な問題はあります。

この身分と特定の職業が結びついて「差別」をしてきた歴史も長らくあります。

しかし、海外はその比ではありません。

本当に。
先日より話題となっている日本国首相のビデオメッセージは大きな誤解を生みます。

岸田首相の人権メッセージに相次ぐ疑問の声、 「差別の少ない国なのに」 擁護コメントも
岸田文雄首相が「共生社会と人権」を巡るシンポジウムに寄せたビデオメッセージに対して、SNS上で疑問視する声が相次いでいる。首相の発信は「偏見によって放火などの…

どういう思いなのか、切り取られているのか、でも国家元首ですからね・・・。
本当に「日本国」を傷つけるのはやめて頂きたい。

さてさて。
地理総合で学習しているインドのカースト制度

古代にインドに侵入し支配者となったアーリア人がもたらした身分制度「ヴァルナ制度」からつながる、長い長い歴史のある身分制度です。

特徴的な点は「身分」と「職業」が強く結びついている事です。

という社会的価値観がある中で、学校における「清掃指導」はなかなか実施できないでしょう。

また長らく英国統治下にあったマレーシア、シンガポールでも、西欧風の影響か学校における「清掃」は専門業者がやるのが一般的でした。

さて、世界でも珍しい「清掃」を教育活動の一環として位置付けている日本です。

なぜなのでしょうか?

大きな勘違い

生徒の中には、清掃の理由を「予算が無いから」と勘違いしている人もいます。

お金があれば自分が掃除するなんて考えられない、ということでしょうか。

他にも、自分の部屋はきれいに掃除している。

と素直に答える人もいます。

なんで他人の為に掃除するの?ということでしょうか。

もちろん、お金の問題ではありません。

ちなみに、私が最も重要視している清掃は「トイレ掃除」です。

さて、なぜ「トイレ」なのでしょうか。

誰だって面倒くさい事、汚れる仕事は避けたいものです。

では、それをお金で解決するのでしょうか。

米国で問題になっている 軍人=低所得者 という構造の問題と同じです。

国は守る。これは当然である。

でも戦って殺すのも死ぬのも嫌だ。

だからお金の無い(特定の人種を指すさらに根深い差別も含む)人間がやればいい。

私たちは対価として「お金」を払っているから義務は果たしている。

これと同じ考えで良いのでしょうか?

また、コンビニエンスストアの店員に、ファミリーレストランの店員にクレームを言う人の思考はどうなっているのでしょうか。

まさに「サービス」の語源は「サーブ」する、つまり スレイブ=奴隷 。
まさに「奴隷と主人」という発想でしょう。

一体いつの時代の発想でしょうか。

まさに、前近代的思考(身分制度のあった時代)です。

近代、市民革命以降、何があろうと「人」は平等であり、相手を尊重する社会というものに人類は気が付いたのです。

ちなみに「お金」は、得ている付加価値に対する正当な対価です。
美味しいものを食べさせてもらったお礼が「お金」なのです。

勘違いしてはいけません。

そもそも、あなたは人に対して「上から」モノを言う権利など無いのです。
私たちは対等なのです。

日本的価値観

そう考えると、儒教、仏教と中国から多くの思想を輸入し、豊かですが厳しい自然と向き合ってきた日本民族は独自の価値観を育んできました。

地震、台風、それだけでなく、限られた土地、限られた資源の中で生き残る術。

それは

です。

この厳しい社会を1人では生き残れないのです。

自分が出来る事はする。
それが社会全体の為になるのであれば、仮に自分にとって心地よい作業では無くても行動する。

これが「日本的価値観」です。

そして、その最たるものが「清掃」ではないでしょうか。

学校での清掃もありますが、地域でごみ拾い、草取りなどの活動があります。

これをボランティアとひとくくりにしてほしくありません。

これは「日本的価値観」です。

言い換えれば「利他行為」です。

日本への評価

ビジネスの場では、日本企業をM&A(企業買収)する上で評価されている点がまさに「日本的価値観」という話がありました。

企業への思い入れ、愛着と言ってもいいでしょう。
給料が全てではない。
これまでお世話になった、苦しい時こそ恩返しをする。

こんな社員、海外で見つけるのはなかなか難しいようです。

もちろんずば抜けた能力があれば、それもカバーできるほどの魅力になるでしょう。
でもそういう人はごく少数です。

でも、日本人はそこに焦点を置きません。

よくずば抜けた「個性」がつぶされている、という話を聞きます。

確かに改善すべき、柔軟に考え方を変えていくべき「日本的課題」だと自覚しています。

しかし、大多数の一般人が協力し合って厳しい世の中を乗り切ろう、というこれまで教育に落とし込まれてきた「日本的価値観」の素晴らしさも忘れてはいけません。

ちょっとお話しました。

今日、短時間ですが未来ある若者たちに話をしました。

この中でどの人の将来明るいでしょうか?

人から信頼を獲得し、目をかけられて応援してもらい、実力を身に付けて成長していけるのはどの価値観の人でしょうか。

まだ右も左も分かっていない若者たち。

可能性が大いにある若者たち。

自分自身と向き合って欲しいです。

一生懸命に掃除をしている人を見て「ああ、私も何かしなきゃ。」という思いは起きませんでしたか?

まだまだ不十分ですが、それでも1時間の大掃除できれいになった教室を見て何も感じませんでしたか?

お金払って専門の業者の方がきれいにしてくれた教室とは、その価値が異なります。

一生懸命に自分のいる場所を美しくしよう、明日大勢来るお客様に少しでも気持ちよくなってもらおう。

そういう思いを持って、行動をしたことは何にも代えがたい経験です。

また、以前にも伝えたことですが、なぜ掃除を一生懸命にやるのか?という問いに

と答えました。

と言われて、そこに気が付いてくれたことがうれしかったです。

しかし、それは「あなたの場所」でもあるのです。

あなたの価値観

自分のいる場所を「最高」の場所にする。

そのために「清掃」は分かりやすい第一歩です。

まだまだ先は長いですが、必ず私は今いる場所を私が出来る最善を積み重ねて改善していきます。

最後に問いかけました。

「あなたはこの場所を大切にしていますか?」

「私の言っている事を笑いながら聞いている人。外野のヤジのように馬鹿にしている人。」

「今に見ててください。来年、再来年、そしてあなたたちの卒業後。絶対に素晴らしい場所になっています。」

「あなたは傍観者、外野からヤジを言い、文句を言って足を引っ張る側の人間か、自分の出来る事の最善を尽くして、素晴らしい場所にしようと行動する人間か。」

人はいつでも変われます。

変わろうと自分が思えれば変われます。

最後に「机を運んで欲しい」と声をかけたら、ちょっと文句を言いながらも行ってくれた人がいます。

「ごみ捨て」を快く引き受けてくれた人もいます。

希望はありますね。

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