昨日実施した表題にある「学校は楽しいですか?」というアンケート。
対象は私が担任するクラスと部活の生徒です。61名が早速アンケートに答えてくれました。とっても丁寧に、本心を書いてくれてありがたい気持ちでいっぱいです。
埼玉県立不動岡高等学校
アンケートデータとしては分母が少ないですが、それでも現在学校に通う高校生がどのように思っているのか、がある程度みえてくると思いました。
伝統校
アンケートに答えてくれた生徒が通う埼玉県立不動岡高校のデータです。
創立135年の日本屈指の伝統校。
現在文部科学省よりSSH(SuperSienceHighSchool)の指定を受け、県北の加須市というなかなか全県的には知名度が高くない立地ですが、入学を希望する生徒は例年1.3倍程度を確保できています。
令和2年度 志願倍率1.36倍
埼玉県北部のデータを見ると
春日部高校 0.99倍
春日部女子高校 1.1倍(昨年度より1クラス40人募集減)
熊谷高校 0.93倍
熊谷女子高校 0.99倍
県南の学校は
大宮高校 1.76倍
越谷北高校 1.46倍
蕨高校 1.63倍
さいたま市立浦和高校 2.29倍!
(募集が6クラス240人と少ないとは言え・・・。すごい!!)
県南の人口が多い地域では2倍!なんて高倍率も珍しくありませんが(公立小学校の教員採用倍率が負けてしまう・・・・)、地元の人口の影響はありますね。もちろん各学校の魅力の結果もあるでしょうが・・・。
何が言いたいかというと、
よく加須市でここまで生徒を集めているな~と。
すみません!!
でも実際、加須市周辺は人口の減少も進み、駅前はいわゆるシャッター街となりつつあります。その結果、通ってくれる生徒の出身は地元加須、羽生、行田だけではなく、久喜、蓮田、鴻巣、さいたま市と本当に多方面から生徒が進学してきます。
ちなみに伝統校、他県に隣接している学校にのみ「隣接県協定」なるものがあり、県外の生徒が定員の1割まで入学を認められています。そしてこの埼玉県教育委員会が発表した倍率には、この県外受験者が含まれていないんです。ということで、実質倍率はさらに上がります。
ちなみに吹奏楽部員も8名/70名ほどが県外出身者です。
例)茨城県 古河、群馬県 館林 等々。
リベラルアーツ
さて。立地はとっても厳しい環境の不動岡高校。
何としても学校の魅力を磨き続けよう、と再来年度より学科再編が行われ、リベラルアーツの理念に基づく新たな学校に生まれ変わる予定です。
この「リベラルアーツ」とは教科、科目にとらわれず、横断的に学ぶ。これまでの公立学校教育ではなかなか実現しなかった取り組みです。学び本来の喜びに気づいてもらう!という思いです。
「加須市」の伝統は日本でも有数。
何と言っても創立135年という歴史は、学校の隣に接する不動尊總願寺の門前仲町から始まっているからです。このお不動様は関東三大不動に数えられ、節分会では例年であれば、駅前から出店が並び、大勢の参拝客でにぎわいます。多数芸能人、お相撲さん(かつては横綱も!)が来て、とてもにぎわいます。
不動岡高校吹奏楽部も毎年出演していましたが、残念ながら今年は発表の催しは中止となってしまいました。ああ、来年は演奏したい!
このように、いわゆる「進学校」と呼ばれ、一般的に意識の高い、学習意欲の高い生徒が集まっている学校の生徒が答えたアンケートである、ということをご理解の上で結果をご覧ください。
前置きが長くなりました。
それでは、そのアンケート内容を精査していきましょう。
アンケート
質問1 「学校は楽しいですか?」
とっても楽しい、まあまあ楽しい 72.1% 普通 21.3% あまり楽しくない、つまらない 8.2%
9割が普通以上というのはかなり前向きなデータではないでしょうか。これは他校との比較ができていないので、ぜひこれは比較してみたい!
質問2 「学校で何が楽しいですか?」
1位 部活
これは吹奏楽部員も多いので気を遣ったでしょうか?いやいや!それでもうれしい結果です。
2位 休み時間 なんだかかわいいですね。
3位 学校行事 生徒会担当としてうれしい限りです。
これらが7割、6割を占めています。
質問3 「好きな教科はありますか?」
これは各教科まんべんなくあって、それぞれの好みが出ていますね。
第1位 社会! そんたく無しですよね!?
第2位 数学!! 好きな人も多いのですね。(すみません。私が文系でして・・・)
質問4 「学校に行きたくない!と思ったことはありますか?」
なんと!9割の生徒があるそうです。思ったことのない生徒は少数派なのです。
私は少数派・・・。
理由を見てみると
・月曜日ふと思ったことがある
・朝起きてあ、今日頑張れないってふと思う。別に嫌なことがある訳じゃないけど無理なときは無理。。
・常にそんな行きたくないです
・雨が降っている時。 部活がないこの期間中。寝坊したとき。
・疲労感を感じる時、嫌いな授業がある時
・人間関係がうまくいかないとき、精神が不安定で病んでるとき等
・嫌いな授業があるとき 友達と喧嘩した時 自分だけ学校休んだ時 なんとなくだるいとき ベッドから出たくない時 寒い時 暑い時
いや~、本当にみんな毎日「行きたくない自分」と戦ってるんですね。
質問5 学校が嫌い
はい、どちらとも言えない 合計40.3%
これは・・・・。結構頑張らないと「学校を好き!」と思ってもらうのは難しいという数字ではないでしょうか。まずい・・・。
嫌いな理由から
・大人数と浅く広い関係を保たなければならない点
・行かなければ行けないという謎の責任感があるから。
・勉強が好きではない
・勉強と友人関係を両立させなければならないこと。
・時間を守らなければいけない、先生が怖い、勉強が嫌い、集団行動が苦手、いじめ問題 などが思いつきました
・嫌いというほどではないが不満はある ・人が多い ・受験のための授業になっている教科がある ・屋上に上がれない ・教室が狭い(机を離しているせい?)・7日しかない1週間のうち5日もしくは6日学校があること ・教科のバランスの偏り ・提出物、発表、テストが集中する時期がある
勉強、また友人関係の理由が多いです。
逆に好きな理由は
・学生にとって熱中できる場があるところ
・面白い話、自分の人生、価値観に影響を与える話を聞けることがある
・友達と会っていろんな事を話せる事(休校期間でさらに「話せること」の良さに気づいた)
・友達と休み時間に話せるところと、行事などにみんなで取り組んで楽しめるところ。
・友達と会えるところ。色々な人と関わるので、勉強以外にも得られるものがあると思います
・毎日知らなかったり新しいことを教わって、日々成長してるなと感じれることや、友達とどこかへ遊びに行かなくても会えること。
・友達と沢山話せたり、周りの人が頑張ってるのを見るとモチベが上がって1人のときよりも頑張った感や達成感が強く出るところです。
・一番は友達次点で部活
やっぱり友人関係が多いですね。
「好き」と「嫌い」は表裏一体なのですね。
友人との交流が深まる、学校行事、部活動が学校生活に占めるウェイトがいかに大きいのかが分かります。
お勉強を本当によく頑張る生徒たちでも、学校生活は「勉強以外」も重要であるということに間違いはなさそうです。
「自由記述」から
・学校でのいろんな経験が、嫌なことがあってプラマイ0になることはあっても、マイナスになることは無いと思う。まあプラマイ0になることがあるっちゃあるから「学校行けば絶対いいことがある!楽しさしか無いね!」とは言えない…
・緊急事態宣言が出ている中でストレス解消法がない。つらい。なんかそういうストレス発散できる行事がしたい。
・必ずしも行かなくてはならないところではないと思っているが、学校に行くことによってある程度の生活リズムや人間関係、学力を向上させることができる場だと思う。また、一歩外に出るだけでも視点が変わったり、気持ちに変化が出たりと(良い意味も悪い意味も)、社会と繋がれると思います。今は通信の学校などもあるので、本人がしたいように生きるのが大事だと思うし、実際私の友達にも似たような子がいて、今は通信で楽しく生活しています。上から目線ですみません。今までの経験上言えることかなと思います、、。
・無償で授業を受けることができるいい場所だと思う
・学校へ行くことは大事だけど、学校行くのが辛いし嫌だしどうしようもなくなる時もあるし、だけど、いつか行きたくなるはずだから、その時に行けばいいと思います。極論、学校いかなくてもしなないから無理に行こうとしてもっと行きたくない気持ちが強まるくらいなら一旦行かなくてもいいやーくらいにおもったほうが得策で、逆にそう思っているとまたいつか学校に行きたく時が来ると思います!(小中学校はつらい人にはほんとうにつらい。高校は、小中学校よりも楽しいですよ☺️)
・習慣と既成概念のお陰で通い続けれられていると思うこともある。ただ、学校に通うことで、独りよがりにならなかったり、新しい考え方に出会うこともできるので、自分にとってはやはり必要。好きと言い切るのは躊躇われるが、いいところもある。
・去年の自粛期間で痛感しましたが、家の手伝いなどを含めないとすると、私たちの年では、働かない限り学生として学ぶことしかすることがないんだなと思いました。何か代わることがあれば良いのですが、とりあえず学費を払ってもらっている今の身としては、目標や夢の有無に関わらず、学校は行くべきところなんだなと思っています。
私の素直な感想。
みんな偉い!!そして、ありがとうございます!
本当に「大人」な考え方をしているな~と感心しました。
中学生、小学生に向けて真摯に「学校の良さ」とか、「学校の意味」なんかを伝えようとしてくれています。
実は、伝えようとする中で彼らなりの理解が深まっているのかもしれません。いずれにせよ、それは現在進行形であり、実感を伴うもですからとても説得力があります。
決して私が誘導して結果を集めたわけではありませんが、教員として私がイメージしていた以上の素晴らしい結果でした。
コロナの影響で、オンライン授業が一般に広がりました。この流れは今後もさらに広がっていくことでしょう。
この事で一層「学びの選択肢」が広がったと感じています。その結果、これまでの「学校の当たり前」が崩壊し始めています。
学校の持つ「圧倒的優位性」、つまり「学校でしかできないこと」に焦点を当てるべきです。
そうでないとこれから先、普通の学校は「選択肢」に入らなくなってしまう、そんな危機感を覚える結果でした。
ご理解頂けたと思いますが、前回も申し上げました通り、学校教育は「授業」だけではないのです。
ですから安易に「学校行事」や「部活動」を削減してはいけません。その行為は生徒が最も「学校の魅力」であると感じている事を削減しているのです。
学校は変わるべきだ、と言っているのではありません。
もう一度「学校の魅力」を見直し、どこに全力を注ぐべきかを考える時が来ています。そのことをはっきりと表したアンケート結果ではないでしょうか。
本日のまとめ。
早く部活やりたい!!
以上。
コメント